岡山大学工学部同窓会
2007/07/29
第21回国際ガラス会議

生物機能工学科・尾坂明義
(昭和45年3月卒,工業化学科第7期生)

2007年7月1日(日)〜6日(金)までフランスのストラスブール市で第21回国際ガラス会議が開催された。3年に一度,欧州・米州・アジアの3地区を順繰りに廻り開催される,ガラスに関する世界最大の研究集会である。前回第20回大会が京都で成功裡に終了した後を受けての開催である。参加者は約1200名,そのうち日本からは約100名になんなんとする参加であった。初日は登録とウェルカムレセプション,第二日(月)午前は開会式と各種表彰式。大阪府立大の林 晃敏先生がGottardi賞を受賞された。こころよりお祝い申し上げたい。この賞は,若手のガラスの研究者にいたして授与されるもので,岡山大学の若手教員は筆者の目からしても十分受賞の資格はあると思うが,知られているかいないということが,選考上大きな要素ともなる。同日午後からが研究会の本番で,5会場に分かれてのパラレルセッション。今回は講演数が多く,その多くはポスター発表に廻っている。これに関して,同じ内容のことを口頭とポスターの二刀流で発表するケースが多くみられる。日本からはそのようなケースは見たことがないが,欧・米の連中はよくやる。筆者のグループからは3件提出し,その2つのポスター発表が第2・3日(月・火)の夕刻(筆者説明)と,第4日(水)の午前および第5日(木)の夕刻(早川先生説明),ならびに最終日第6日(金)の午前中の口頭発表(修士課程2年,風間君の発表)である。

筆者は木曜日の午前中は,国際ガラス委員会第4技術委員会(TC4)の会議(内容は,ガラスと生体組織との相互作用に関する研究の推進と基準作り)に充て,水曜午後は恒例の(有料)エクスカーションであるため(筆者不参加),特別講演を除けばおよそ5半日間各個の発表に参加できた。筆者の参加した講演の多くは,ガラスの構造をX-線回折・散乱,核磁気共鳴法,中性子散乱等分光学的手法で追求したり,ガラスの結晶化や分相に関係する基礎的な題材を主とするものである。いくつか質問をしてみたり後から個人的に話をしたり,有意義といえる会議であった。

バイオガラスや生体関連材料のセションは全体からみると参加者は多くないが,いずれも熱心で,我々のグループから提出したポスター・口頭発表についても多くの質問を受けた。

さて,以上が会議自体の報告である。以下は,それにまつわる珍道中記をご披露しよう。当初そのTC4が第一日(日曜)に開催の予定と聞かされていたこと,また,できるだけ安い航空運賃の利用を前提とすること,航空機トラブルの時の対応,これらのため,関西国際空港発,パリ経由,金曜の夜にストラスブール着になるよう予定を組み,航空券を購入(発券)した。その後で上記のように予定が変わったこともあり土日がぽっかり空いてしまった。まず,金曜の夜10時30分にストラスブールに着いてもさて飛行場から市中までの連絡バスは既になく,市内往きのトラム(路面電車)のターミナルまでは連れて行ってくれたが,そこからどうなるのやら。国鉄のストラスブール駅を通る路線であると考えて,何番目が駅だと思い降りたが,全く様子が違う。目標としていた国鉄駅経由ルートではなく,別の路線のターミナルから乗ったのであるから当たり前。夜11時半というに多くの若者たち・恋人たちが通りを歩いている。これはこの町は安全だと,確信しました。彼らに尋ねまくり,今から思えばどこをどう歩いたかは分かるが,そのときは半分盲滅法に歩いて,宿に着くと,当日の投宿客の最後で名前を告げると,お待ちしてましたとばかりに,すぐに部屋のカードキイを渡された。次の土曜の午前中はゆっくりとして,午後からはHaut-Koenigsbourgという,つい最近リストアされたばかりの中世の石造りのお城ツアーを購入して参加。写真1はその城壁からアルザスの平原とドイツ領・シュバルツバルト方面を望む。

pic1 写真1:Haut-Koenigsbourg城の城壁から,東に広がるアルザスの平原と村々を望む。ライン川とそれを挟んでその向こうに広がるドイツ領・シュバルツバルトは霞んでよく見えない。

このお城の付近のストラスブールからミュールーズを含む,ライン川に沿う南北に長い領域はいわゆるワイン街道を形成し,リースリングワインの一大生産地である。しかもこの地区には,写真2の様な小さな村々が点在していて,その各村々に多くのワイン造り酒屋がありそれぞれ特徴のあるワインを製造販売している。ワイン好きにはたまらない地区だろう。

pic2 写真2:お城からの帰途立ち寄ったワイン街道沿いの小さな村。ちょうどワイン祭りのようなのをやっていた。こんなしゃれた村が点在している。
pic3 写真3:モンサンオディール教会の東南からみた建物の様子。塔の上にオディール女の像。

日曜は当然教会はミサがある。この地区で有名なMont Saint O'dile (O'dilia) の教会を訪れてみた。ミサのあるときだけストラスブールから約40分で,教会のあるオーベルネ地区の山頂まで市内バスが運行している。写真3はその建物の南東から見た形。塔の上に聖人オディールの像がある。彼女は7世紀後半の女性で,生まれつき盲目の状態であったものが,12才の時天使に導かれたある僧により洗礼を受けたところ,視力を回復したという。父にその宿痾故に疎まれたりするも,修道院や病院を建設する等の功績を残した。死して後もその修道女たちの敬虔な祈りにより復活を遂げ,現在の場所に葬られたという。実際,教会の中にはオディール女の石棺が安置され祈りを捧げることができるようになっている。彼女自身の障害により,障害を持つ人たちの信仰を集めている。教会の中庭には,広げた本を胸に抱く彼女の像がある。

さて,ストラスブールはヨーロッパの政府と議会の設置されている都市であるが,日本では写真4のプチフランスの街並や写真5の大聖堂(聖母教会)が世界遺産であることの方が有名であろう。

pic4 写真4:ストラスブールのプチフランス地区のきれいな街並。
pic5 写真5:赤い砂岩でできたストラスブール大聖堂。正面から見るとゴチック様式建築がよくわかる。夜ともなると5色の光で交互にライトアップされる。内部には14世紀に製造され現役で働いている天体時計ある。また,そのステンドガラスも意に違わずとても美しい。

最後にスナップを一枚。(写真6)これは,筆者の発表ポスターの近くを通りかかり興味を示したので説明した後,この会議に参加していた本学環境理工学部・紅野先生を頼んで撮ってもらったもの。このロシアの女性はオルガという名前らしい。写真を送ってあげるからと名刺を渡したが,もちろん何も言ってくるはずもない。筆者の周りの先生方は呆れ返っているかもしれない。

pic6 写真6:筆者のグループのポスターの前で。参加者の一人オルガ嬢と。

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