岡山大学工学部同窓会
update:2013/07/31
退職にあたって(研究活動への取組み)
機械システム系学科 則次 俊郎

1972年3月に岡山大学工学部生産機械工学科(自動制御研究室)の5期生として卒業し、1974年3月に同大学院工学研究科修士課程生産機械工学専攻の第2期生として修了しました。修了と同時に、津山工業高等専門学校(以後、津山高専)機械工学科の助手に採用され、講師、助教授を経て、1986年4月に和田 力先生のお誘いにより岡山大学工学部自動制御研究室の助教授に配置換えとなりました。この間、1982年9月に花房秀郎先生のご指導により京都大学より工学博士の学位を授与されました。1991年4月に、和田 力先生が津山高専校長として転出された後、教授に昇任させていただきました。私が所属した研究室は、学科改組や大学院重点化に伴い、その名称は、自動制御、機械制御工学、システム制御学、知能機械制御学と変遷しましたが、1968年の生産機械工学科創設時から一貫して「制御」を核としています。

1986年に岡山大学へ着任当時から、研究室の研究内容は流体工学を中心としたフルイディクスから機械システム制御に関する研究に移行しつつありました。私も、津山高専在職時から着手していた空気圧サーボ系の高機能化制御に関する研究を発展させることができました。学部4年生や大学院生の皆さんと一緒に、当時の先端制御理論であった最適制御、適応制御、学習制御、ファジィ制御、ニューラルネットワーク制御などを空気圧サーボ系の制御に導入しました。これら一連の研究は当時の空気圧制御分野において先駆的であり多数の学術論文を発表することができました。その効果もあり、1990年代に入り企業から共同研究の依頼が増え始めました。それらの内容は当研究室が保有する制御技術や空気圧技術の応用に関するもので、その対象は、アクティブサスペンション、空気式精密除振台、コンテナクレーン、空気圧ロボット、空気圧シリンダの精密位置決め等々多岐にわたり、企業の担当者の方や学生さんと時間が経つのを忘れて議論したことを懐かしく思います。

2002年~2003年に大学の地域共同研究センター長を仰せつかり、産学官連携の必要性と有用性を改めて実感しました。その当時、大学のシーズと企業のニーズのマッチングが議論の中心であり、両者を取り持つコーディネータが学内外に誕生したのはこのころです。

産学連携の形態は、1ニーズオリエンテッド型、2シーズオリエンテッド型に大別できると思います。大学の研究者としては、2の形態において、自身の研究シーズが社会のニーズに適合し、さらに新たなニーズを創生することができれば大きな喜びです。

私の研究室では、このような観点から、2003年頃より空気圧ゴム人工筋を用いた福祉介護ロボットの研究開発に着手しました。研究シーズは私たちの研究室にあり、高齢社会に向かう中で社会の巨大なニーズを感じました。2の形態を実施する場合、論文発表だけでは実用化は困難であると判断し、産学官連携、ならびに研究内容の性格上、医工連携による研究体制を構築しました。2007年~2008年に、国(経済産業省)の支援を受けて産学官連携・医工連携体制により福祉介護ロボットの研究プロジェクトを推進しました。現在も、その一部は形を変えて継続しており、岡山大学病院との連携によるリハビリ機器の実証試験や地域企業と連携したパワーアシストグローブの商品化など、徐々に研究成果が具現化しつつあります。しかし、2003年に描いた夢の実現に向けてわずか一歩を踏み出したに過ぎません。

2013年3月末に大学院自然科学研究科長の任が終わり、定年退職までの2年間を上記の夢の実現に向けて研究活動に専念したいと思っていましたが、予期せぬことに、2013年4月より津山高専校長に就任することになりました。幸い、津山高専へ着任後もこれまでの産学官連携・医工連携研究を継続し、月に何回か岡山大学へ戻っています。今後、できれば、私の勤務地である県北地域においても、このような研究体制を構築したいと考えています。

以上、岡山大学へ在職した27年間における研究活動への取組みについて紹介させていただきました。研究活動を通して多くの人に出会い議論できたこと。また研究課題を共有した研究室のスタッフや学生さんと楽しい時間を過ごせたこと等々、懐かしい思い出であります。工学部の皆様には27年間の長きにわたり大変ありがとうございました。また、本会報への寄稿の機会をいただきました代表幹事の酒井貴志先生のご配慮に心より感謝申し上げます。今後の工学部ならびに工学部同窓会のますますのご発展と皆様のご活躍を心よりお祈りいたします。ありがとうございました。(平成25年6月1日)


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